虎視眈々と狙え。

 無事、大学を卒業しました。
冗談ではなく、卒業式の数日前に卒業が「許可」されるほどの崖っぷちだったわけで。


 卒業式の日、教授はゼミ生を集めて話し出した。
「俺は過去、一度だけ苛められたことがある。」
いきなり何を言い出すのかと思ったが、「出る杭は打たれる」という主旨の話だった。
まあ、確かに教授みたいに良い大学出て、しかも親が作家なら仕方ないでしょう。
「俺が鼻にかけた態度だったから、いけなかったんだ。」と自嘲的に話してたけど。
「新しい環境に移ったら、少しの間でも構わないから情報収集をしろ」とも言ってた。
要は、業界の傾向と、人の顔色を伺って人間関係を観察しとけってことなんだけど、ここでいきなり私の目を見てこう言った。
「でも、卑屈になっちゃダメよ?」
どっひゃー!核心突かないでよ!耳が痛い!


 でも、この言葉はある生徒に届いたのかな?
マルチにはまって、自己啓発セミナーにはまっちゃった子に。
その子は若さの塊のような子で、良く言えば「即決・即実行」、悪く言えば「深く考えない」。
お金を稼ぐことは必要だけど、それだけが目標じゃ、すぐにダメになる。
少し考えればすぐに分かることなんだけどね…その子は回りの人間関係もろとも見えていない。
このままじゃ、数年後、ダメになるんじゃないかと。
だからって、私はその子を助けられない。
自分の偽善者具合にうんざりしちゃうけど、今は、虎視眈々と自分のチャンスを狙うしかない。