起業の難しさ。

 私の周りには起業する人が比較的多かった。
なぜって、私の働いていた業界は大まかに言うとサービス業だったからだ。
ノウハウとスキルさえ手に入れればお金が生まれる。
しかし、そのためにはいくつか欠かせない物がある。

・資金
・信頼できる悪徳広告代理店とのコネ
・汚れてもいい名義

↑この3つの関門を越えなくてはならない。これがなかなか難しい。
捨てる物が何もない人にしかこの関門は越えられないだろう。


 前社で私は新規立ち上げをサポートする役回りをしてきた。
ノウハウはあるけど、いつもいつも傍観者だった。
コンサルの話が舞い込むと私が派遣されるという具合。
現場を見て、ぶっちゃけ起業なんてリスクに足を突っ込みたくねえなあ〜私はしたくねえなあ〜!というのが私の結論だった。

私みたいなヘッポコが派遣される時点でお察しいただきたい。
しかも上記3点が揃うような、人生においてもう何も捨てる物が無い人が起業するので…つまりはオツムがアレな人ばかりだった。
私が客観的なデータを持ってきてプレゼンしても「はあ〜そうですか〜う〜ん」とその場だけ分かったような返事をするだけで実行できない。(いや、実行する気もないのか?)
このままでは事業が破綻してしまうのでコレをやりましょう!と鼓舞してみるが「じゃあやってくれますか?」と丸投げ。
おいおい、お前が社長だろうと。
社長が動かなくてどうするんだと。
起業とは一体どういうことなのか、そんなことも分からず勢いだけで起業しちゃおうって思える魂胆がすごい。
 
その件を本社の上司に報告しても苦笑いするだけ。
いくつもこのパターンを見てきているし、コンサル料はばっちり頂いているので本社的にはどうでもよかったんだろう。
起業して生き残ったのはほんの一握りだった。


 でも、思うんだよ。
あんなにオツムがアレな人ばかり起業するあの業界、やっぱりおかしかった。
まともな同僚が立ち上げた会社達はもちろん今も存続している。
やっぱりある程度の思慮深さを持った人じゃないとダメなんだね。
そんなわけで、あの人にはもっと自信を持ってほしい。
新規立ち上げにおいて、成功パターンよりも失敗パターンばかり見てきた私だけど、何か力になれないものか。