角打ち

 高校生の頃、両親の離婚を機に、より田舎のかほりのする場所へ引っ越した。


学校からの帰り、田んぼ道の中にポツンと酒屋さんがあるのに気がついた。
毎日毎日、暖簾の下からおっさんの足が数本見えている。
しかも、夕方の17時ぐらいですかね?昼下がりの時もあったかもしれん。


当時、酒屋さんでおっさん達が酒を飲んでいるであろうことは十分勘付いていた。
が、しかし。
あれが「角打ち」というものであるとは知らなかった。


今、私が2年前から住んでいる家の前には、そういう酒屋さんがある。
(1年前までは、その隣に銭湯があって、風呂上りのおっさんが酒を飲んでたりしてたんだけどね…。)
こういう文化は、東京の中でも未だに息づいているものだけど自然淘汰されてきたものだ。
その中で、それでも残っているのには理由がある。


今日、そこで聞いた会話。
女将「お客さん!冷えたマッコリあったよ!あんたねえ、マッコリの在庫はここにあるから…」
息子「母ちゃん、しつこいよ…」
女将「お客さん、冷えたマッコリと常温のマッコリどっちにする?」
息子「母さん、しつこいなあ…」

陽気な女将さんと、しっかりした息子さんの会話が私の前で繰り広げられました。
そして、オチは
女将「あ…この冷えたマッコリ、お店用でもう開いてるやつだったわ…」
がーさすです。ママさん。


量販店では許されないことなのだろうけど、ここまで人間味があると逆にいいオマケに見えたりするもんですね。
住民に愛されるお店はやはり茶目っ気があっていいものです。


私の住んでいる場所は、スケーターの兄ちゃん達にもさんざんな言われようをします。
ghettoすぎるとか、汚いとか。
だけど、それだけ人間臭い場所なんじゃないかと思うんです。
私みたいにいい子ちゃんで生きてきた人間には、とても興味深いんです。


ここに居られるのも、もしかするともう1年ぐらいかもしれんので、是非是非それまでには「角打ち」にチャレンジしたいものです。